四天王寺の極楽門向って右手前に、乳のおんばさんと呼ばれる布袋堂があります。
大きな袋を担いで、ふくよかな表情の七福神・布袋さん。その福々しいイメージが愛情たっぷりの母親像と重なるのでしょうか、乳の出が良くなるご利益を授かるために、数多くの参拝客が布袋堂を訪れます。
こちらは布袋堂の前に立つ「なで布袋尊」。
びんずる尊者のように光り輝く布袋尊(笑)
なで布袋尊を前に、ご利益に授かりたい場所を撫で回します。お腹の「福」は福を呼び、背中の「黄金袋」は財を呼び、手に持つ「ひょうたん」は諸願成就に結実します。堪忍袋の緒が切れたという表現がありますが、あの堪忍袋は布袋さんが背負っている袋に由来します。
それだけ布袋さんは気の長い、穏やかな性格をしておられるということになるのでしょうか。ここでも、あらゆることを受け止めてくれる母親像と重なりますね。
瓢箪も縁起物ですよね。「瓢箪から駒」という諺があるように、宝くじが当たるぐらいにラッキーなことが起こる予感がします。まさしく吉運尽くしの布袋さんです。
ところで、お目当ての布袋堂の乳布袋尊ですが、なで布袋尊の奥に鎮まっています。
こちらが乳布袋尊。
堂内での撮影は禁止になっていますので、遠目から失礼致しました。
そもそも布袋堂は、聖徳太子の乳母を祀ったのが始まりではないかと言われています。蘇我馬子の娘の日益(ひます)、小野妹子の妹の月益(つきます)、物部守屋の妹の玉照の三人が聖徳太子の乳母としては有名ですが、果たして四天王寺の布袋堂も、この乳母たちを祀ったことに由来しているのでしょうか。
乳布袋尊の前に進み出てみると、なんだか平べったい感じのする布袋さんでした。なで布袋尊が立体的でふくよかな印象だったのに対し、乳布袋尊はその対局にいるような尊像です。もちろん、本来の歴史を感じさせるのは乳布袋尊の方ですが。
布袋堂の絵馬。
勢いよく乳が飛び出している先には、容器のような物が見えます。
ぱっと見では駒のようにも見えますが(笑)
大阪の七福神めぐりの絵馬でしょうか。
恵比須さんは今宮戎神社のようです。布袋堂の絵馬も見られますね。
布袋堂のなで布袋尊。
その向こう側に見えているのは四天王寺病院の建物でしょうか?四天王寺は奈良へ通じる国道25号線沿いに面しており、立地的にも奈良の法隆寺とのつながりを感じさせます。
子育て祈願の子安地蔵は各地に見られますが、布袋さんがその信仰対象になっているのは稀ではないでしょうか。
子を思う親の心は、時代を超えて今に生き続けています。
子供の楽園とも呼ばれるUSJのユニバーサル・ワンダーランドで思いっきり遊んだら、四天王寺の布袋堂を訪れてみるのもいいですね。大阪観光の振り子が、見事に180度振り切ります(笑)